戦艦大和の「ガン・ワイヤ」

本日、会社に1冊の本が送られてきました。
本のタイトルは『戦艦「大和」の建造』。
本に挟んでいたしおりのページを開いてみると、なんと東京製綱の文字が!
掲載部分を抜粋
 口径の小さな砲の間は、ムクの特殊鋼に穴をあけるだけでよかったが、口径が大きくなり、使用する装薬(火薬)の量が増大するにつれ、普通の方法では砲身が裂けてしまうようになった。そこで考えられたのが、張力の大きい、ガン・ワイヤを巻く方法である。もちろん、日本だけの発明ではない。米、英、独などの先進国は、みなやっていたことだ。
 46センチ砲の場合、ガン・ワイヤの巻き数が、異常に多いのである。
 当時、ガン・ワイヤは、東京製綱小倉工場に外注して造らせていた。特殊な、薄くて細い鋼だけに、製鋼部でも、そこまでは手が回らなかったのである。
 ガン・ワイヤは、ニッケル・クロム・スチール(NCS)で、ピアノ線と同じ材質である。幅4分の1インチ(6.35ミリ)、厚さ16分の1インチ(1.5ミリ)の高張力鋼である。張力1.7トン=170キログラム/平方ミリ。現在のHT80~90キログラムのものだ。カーボン含有量は0.8%。
 大正12年(1923)スウェーデンから輸入し神戸製鋼が開発したKPR(コウベ・ピアノ・ロッド)を使用して、昭和10年(1935)から海軍の指導で本格製造に入り、46センチ砲に使われた。当時、東京製綱小倉工場は製造設備を拡張し、量産体制に入っていた砲熕部からは定期的に係員を出張させて監督させていた。昭和10年代としては、最高の品質を作っていた。
 1日の製造量は1.6トン。80キロを一巻きとしていたから、20巻きである。1巻きのガン・ワイヤは1140メートルであった。
(戦艦「大和」の建造 講談社文庫より抜粋)
Hさん、貴重な資料を送っていただき有難うございました。
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