「ワイヤロープの使用温度について」の回答
Q:高熱物の玉掛け作業に繊維心のワイヤを使用すると炭化して形くずれをおこし強度が低下するので、鋼心のワイヤを使用すると聞いたのですが、繊維心は普通どれくらいで炭化するのでしょうか?
また、どのくらいの温度の時に繊維心から鋼心に変更した方がよろしいのでしょうか?
A:《玉掛索の取扱上の注意》酸やアルカリの腐食雰囲気や100℃を超える高温雰囲気では、使用しないで下さい。腐食、熱影響等により、強度が低下し危険です。(ワイヤロープ/東京製綱より抜粋)
《繊維心材の高温特性》天然繊維は約130~150℃で炭化しはじめ、約250~260℃で引火して燃えはじめる。
合成繊維のポリプロピレンは約140℃で軟化しはじめ、約165℃が溶融温度(溶融点)となる。(ワイヤロープのすべて(下)P.91より抜粋)
《炭素鋼ワイヤロープの高温特性》鋼心入り炭素鋼ワイヤロープの高温時における強度は、約200℃以上になると急激に低下し、ほぼ素線と同じような傾向を示す。一方、繊維心入りロープでは、鋼心入りロープとは異なり、素線には熱影響のほとんど及ばない約200℃以下でも、繊維心が炭化(天然繊維心)あるいは溶融(合成繊維心)して、心材の形状をとどめなくなるため、ロープの形くずれを生じることになる。
なお、鋼心入りロープ、繊維心入りロープの何れも、汎用ロープグリースを塗布したロープでは、約100℃までにロープグリースがほとんど滴下してロープから消失してしまうため、高温時における疲労性能は著しく低下することになる。(ワイヤロープのすべて(下)P.92より抜粋)