「アイ部分の廃棄基準について」の回答
Q:アイ部分を点検する時も1よりの間で10%以上の切断があると使用禁止になるのでしょうか?(アイだけ別の使用禁止基準などがある???)
A:以前、メールマガジン(vol.25)で「玉掛索アイ部の廃棄基準」という特集を組みましたので、文章を抜粋して紹介致します。
アイの頂点部はフックやシャックルに引っ掛けて小さく曲げられるため、玉掛索では最も形くずれしやすい部分です。
そのため、ワイヤロープの廃棄基準をアイの頂点部に適用した場合、数回しか使用していないにもかかわらず、廃棄基準に達する場合がほとんどです。
しかし、アイはロープが2本になるため、アイ頂点部にかかる力はロープ本体の半分になります。
したがって、アイ頂点部の形くずれ(つぶれ、心材のとび出し)については、廃棄基準による形くずれの許容範囲を大きくする必要があります。
《アイ頂点部の廃棄基準》
(1)アイ先端部に1本でも断線が生じたもの。
(2)繊維心の切断端が外に露出したもの。
(3)直径が1/2(※)をこえるもの。
(注1)正式な規定によるものではありません
(注2)ワイヤロープが繊維心の場合
※ロープ本体の廃棄基準では直径が1/3をこえるものが廃棄となっているが、アイ頂点部で直径が1/3をこえるものを引張試験をした結果、編み込みもロックも加工部下で破断し、アイ部頂点部で切断することはなかった。
このため、アイ頂点部のつぶれによる廃棄基準は1/3としました。
アイ頂点の形くずれを防止する方法としては、シンブルを入れるのが一番効果がありますが、その場合、アイの内径が小さくなり、フックに入らない場合があるので注意してください。
アイ頂点部が廃棄基準に達していても、ロープ本体に問題が無ければ、アイの首下を切断し、ロープを切り詰めて再加工することも可能です。
ワイヤロープは日常点検と定期点検が法令で義務づけられております。
点検をおろそかにすると、重大な事故につながりかねません。
ロープの事故は命にかかわり大変危険ですので、廃棄基準に達したロープは絶対に使用しないよう、十分注意して安全にご使用ください。