「製綱クレーン巻上索、ステンレスロープの強度等について」の回答
Q:
製鋼クレーン(鋳鍋クレーン)の巻上索は鋼心が使われているのでしょうか?また、ステンレスワイヤは普通のワイヤに比べて強度は強いのでしょうか。(同径・同構成の場合)あと、ステンレスワイヤは、どのような場所で使用されるのでしょうか。ご回答をお願い致します。
A:
①製鋼クレーン(レードルクレーン)用ロープの心
「IWRC入り(=鋼心)」を使用します。
溶鋼(溶けた鉄)の熱、炎がロープに掛かるので、繊維心は早期に損傷を受けます。
②ステンレスワイヤロープの強度
例えば、IWRC 6XWS(36) O/O とSS/O を 30mmでロープ破断荷重を比較すると
・O/O :B種(609kN) 特種(640kN)
・SS/O :SA種(450kN) SB種(545kN)
素線強度が同じ同士の比較ではありませんが、ステンレスロープの方がロープ破断荷重が低くなります。
③ステンレスロープの用途
単純に分類することは出来ませんが、ステンレスは炭素鋼に比べ非常に高いものであり、コストとステンレスとしての要求特性を勘案して使用可否を決めるべきです。
一般的には、
・原子力関係:有機物の放射線汚染を防止するため、グリース、心綱を使わないステンレスロープを使用
・水中:コストの問題で、あまり使用されていませんが、水道水用ダムゲート、重要設備
水中で使う場合は、電食に注意する必要があります(接触する金属の電位差)
・薬品中:塩酸等の薬品中で使用(薬品に合せ材質を選定する必要あり)
・高温中:高温中では、炭素鋼の強度低下が大きい。ステンレスは比較的小さいため。(製鋼クレーンは、熱、炎が短時間のため必要ない)
・食品関係、医療用
・航空索
・家具、建築等の飾りとして使用。