モジュリフトの天秤による処女航海のための船の吊り上げ(英国)
陸上・海上輸送および重量物・基準外の吊り荷の吊り上げのエキスパートである、英国に本拠地のあるオスプレイ社は、72.5tの双胴船を1,000tの移動式クレーンと、天秤1台の下に天秤2台を構成したモジュリフトの天秤とで吊り上げました。吊り具は、A-Plant社の吊り上げ部門であるFLGサービス社からの提供です。
オスプレイ社では、造船会社であるワイト・シップヤード社からの業務仕様書を受理しました。それは、その船をオーストリアの最終目的地までのコース設定の前に、造船された英国ワイト島のベンチャーキーの倉庫から動かすためのプロジェクトです。250人乗りのその双胴船、ツインシティライナーは、長さ39.7m、幅11.1m、高さ6.8mです。
最初の課題は、2019年3月末の新しいシーズン開始に向けたウィーンへの到着に間に合うように、船を造船所から動かすことです。オスプレイ社は、ドイツのリープヘア社のLTM1800Dクレーンが届くところまで吊り荷を移動するために、ドイツのゴールドホーファー社のSPMTと呼ばれる重量物輸送用車輛2台を連携させて使用しました。
クレーンは高さ36m、吊り具は船の吊り上げ箇所の高さの相違と重心位置からの3.7mのずれを調整するために設計されました。上部には、長さ29mのモジュリフトのMOD400と、吊り荷のバランスをとるために29mと26.4mのスリングが用いられました。下部にはMOD70Hが使用され、1台は5.5m、もう1台は4mです。また、上部の天秤と接続するために、下部にも長さの異なるスリングが使われました。船尾(後方)が3m、船首(前方)が3.9mです。その下で船を吊るのに使用されたスリングは全て4mです。
オスプレイ社の重量物クレーン部長のダニー・スキッドモア氏によると、「我々は、その双胴船を安全に完璧に吊り上げる方法を考え出すために、造船会社や造船技師と密接に連携し、CADを参考にする必要がありました。以前にそのような船を吊り上げた時、2台のクレーンを連携させて使用しました。しかし、そのサイズのクレーンを2台動かすと、大規模な業務となり費用がかさみます。言うまでもなく、造船所にも混乱が生じます。業務を最小限に抑え、顧客の多忙な海洋環境への影響を抑える方法を考え出したいと思いました。」
未知の海域
オスプレイ社は、モジュリフト社とFLGサービス社に、通常最長24mのMOD400の29mでの使用について相談しました。モジュリフト社の技術部長スー・スペンサー氏は次のように話します。
「オスプレイ社にとって、カスタマイズ製品を使うよりレンタルパートナー企業から天秤を調達する方が、費用対効果が高く便利でした。弊社の技術部で実現可能性を調査し、たわみを最小限にするため、メインの天秤の自重を支える中央のスリングを解決策として思いつきました。―また、この調整可能なスリングは、クレーンのフックに垂直に吊る必要があります。」
スー・スペンサー氏は以下のように続けます。
「弊社では、チェーンブロックを経由して張力を調整する意味で、中央のスリングが天秤の自重を正確に負担していることを確認するために、ワイヤレスロードリンクを使用し、中央のスリングの引張荷重を監視する設計を考案しました。顧客は、その吊り上げの張力が、特定のパラメーターの範囲外にならないよう、監視しました。我々はその吊り上げがスムーズに行われるよう、助言的な立場で参加しました。弊社では、このタイプの吊り上げを請け負ったことはありませんでしたが、今後はMOD250やMOD400を中央のサポートスリングと共に使用することで、今までより長いスパンでの使用を売り込むことができます。」
また、FLGサービス社のショーン・サリバン氏によると、「このプロジェクトでは、協力して業務を行うことが不可欠でした。モジュリフト社と弊社の専門知識を合わせることにより、天秤の既定を超える長さでの使用を実現させ、オスプレイ社に解決策として提供することができました。」
スキッドモア氏は次のように締め括りました。
「モジュリフト社とFLGサービス社のサポートには非常に感銘を受けました。彼らは業界に詳しく、弊社が求めるものを考案されました。「為せば成る」という精神は、私にとって今後も役立つでしょう。」
●モジュラー式吊り天秤のお問い合わせ
モジュリフト日本代理店
中村工業株式会社
担当:春田
Email:i@rope.jp
TEL.06-6551-3390
FAX.06-6551-3396