「引張に対するロープの特性と破断形態について」の回答
Q:よく映画のワンシーンにて、ワイヤロープはブチブチと切れていくのを見かけます。
ここで疑問に思った事があるのですが…
ロープの断面内に等分布荷重がかかった場合、理論的にはロープは断面内で同時に切れ(もしくはブチブチと徐々に切れるのではなく一気にブチッと切れ)るのではないでしょうか?
稚拙な質問で恐縮ですが引張に対するロープの特性とロープの破断形態についてご解説頂けると幸いです。
A:ワイヤロープを引張試験などで破断する場合、ストランド単位で切断します。理論的にはストランドには等しく応力がかかるはずですが、実際には微妙な差が生じ、切断はストランド単位でブチブチと1本ずつ切れます(破断する寸前に素線が徐々に断線し、ストランドが1本ずつ切れます)。
たいていの場合、半分のストランドがほぼ同時に切れる位で、その際も半分は残っているということになります。
また、ワイヤロープはある安全率をもって使用されているので、使用中は半分のストランドが切れてなくなったとしても、すぐには切断はしません。
切れた状態で使用を継続するとその箇所に応力が集中し、最終的には同じ断面で完全に切断する場合があります。