2024.9.12:日刊鉄鋼新聞に掲載されました
中村工業が創業60周年
現状と今後の展望
中村哲也社長に聞く
ワイヤロープ加工販売の中村工業(本社・大阪市大正区)はこのほど、創業50周年を迎えた。神戸工場の開設、重量物吊り上げ製品を取り扱う国外メーカーとの代理店契約、大型クレーンのワイヤロープ交換事業など、さまざまな角度から業容を拡大してきた。今年7月には国内大手ホイスト・クレーンメーカーのキトーと販売店契約を締結。同社の足元の状況や、今後の展望について中村哲也社長に話を聞いた。 (山浦なつき)
*重量物吊り上げのトータルサポート企業へ
*クレーンロープ出張交換に強み
*神戸工場拡張を検討
まずは60周年を迎えられた心境を。
「ワイヤロープの玉掛けを製造販売する会社として創業し、周りの方々に支えられてここまで成長することができた。重量物吊り上げのトータルサポート企業として、皆さまに必要とされるよう、まい進していく」
「また、2代目社長に就任して15年。父の時代と比較して従業員も売り上げも倍以上に増えた。先輩方の培ってきた技術や想いを受け継いで、次世代につなげていく。今年は長女も入社し、新たな気持ちでさらなる飛躍を目指す」
足元の状況は?
「マーケット環境は良いとは言えない。国内のワイヤロープ需要は年間5万トンレベルで推移しており、年々縮小しているが、当社の業績は安定している。クレーンロープ交換や出張加工、吊り具の販売が好調で、今後はクレーン関連の事業に注力していきたい」
全国の交換工事に対応している。
「大型クレーンのロ―プ交換から船舶関連の手編みやソケット加工まで、全国のあらゆる現場に迅速に赴き、確かな技術で対応している。当社は従業員の資格取得に注力しており、一級ロープ加工技能士10人のほか、クレーン運転士や高所作業、溶接などさまざま資格を持つスタッフがそろっていることが強み」
国外メーカー製品の販売・リースも堅調だが。
「2019年に組み立て可能で軽量な鉄製のモジュラー式吊り天り天秤などを製造・販売している英モジュリフト社と国内総代理店契約を結んだ。初年度まばらだった受注は、日本の大型建機メーカーや造船メーカーが注目し始め、採用実績が増加するに従って右肩上がり、リースも好調だ。船級協会が認証するDNV証明書を発行できることから、日本国内でも信頼できるアイテムとして存在感が高まっている」
「2017年に販売代理店契約を結んだ吊り具・玉掛け製品の大手老舗メーカーである米クロスビー社の製品の取り扱いも堅調。足元では万博工事での吊り上げで天秤とセットで採用され、追加で使用したいという声も聞いている」
「また、昨年クロスビーは日本の大手ホイスト・クレーンメーカーのキトーと経営統合した。当社も今年7月にキトーと販売店契約を締結。今後、キトー・クロスビーグループとのシナジーをさらに追求していきたい」
設備投資は?
「近々、神戸工場の拡張を考えている。同工場は2017年に約2500平方メートルの土地に第一工場を竣工。敷地内に同一規模の工場をもう一棟建設する計画だ。神戸工場には、当社が販売代理店を務める東京製綱製ロープと、モジュリフト、クロスビーの製品を在庫しており、即納体制を敷いている。新たにキトーの製品やリース、工事事業など、取り扱うアイテムが増加してきたことから、置き場を拡充させていきたい」
ECサイトも強化している
「当時では珍しく、1997年に自社ホームページを開設した。私がHTMLでコツコツと作り上げ『rope.co.jpのドメインを入手。検索に引っかかりやすいことからウェブでの問い合わせは昔から多かった。その後もコンテンツを増やし、今ではECサイトの『rope.jp」も好調だ。取り扱う製品の魅力をウェプで分かりやすく発信していきたい」
人材確保・育成にも注力する。
「毎年1~2人の新入社員を採用している。また、今年は1人が一級ロープ加工技能士の資格を取得し、来年も2人が一級を受験する。従業員一人ひとりが確かな技術と安全への意識を持つことで、一流の仕事ができると考えている」
「ワイヤロープは産業の命綱としてさまざまな場所で活躍している。『安全』を第一に、『重量物の吊り上げは中村工業』とご指名いただけるよう、精いっぱい努力していく」
(2024年9月12日 鉄鋼新聞より)